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特集 放射性物質に関する情報と正しく向き合うために その2

各地の農畜産物などから放射性物質が検出され、国や自治体は「検査の強化、暫定規制値の設定、迅速な情報公開」に注力しています。今回は、これら食品に関する情報を中心にまとめました。

Q1 人の身体から放射線が出ているって、ほんとう?

Answer私たちは日常的に放射性物質を含んだ食品を食べ、放射性物質が含まれた空気を吸い込んでいるので、身体の中には常に放射性物質が存在します。身体の中の放射性物質は、下表のような種類で、ほとんどがベータ線を出すものです。ベータ線は薄い金属で止まるほど透過力が小さいので身体の外に出ません。ただし、カリウム40やセシウム137はガンマ線を出し、身体の外に出ていきます。その放射線量は自然界から受ける放射線量に比べて非常に低いレベルです。
また、食品や空気などを通じて体内に取り込まれた放射性物質は、一定の期間毎に半減していきます。
(例)セシウムの生物学的半減期
乳児/約9日、9歳児/約38日、30歳/約70日

人の身体の中の放射性物質の内訳グラフ

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Q2 中部地方の環境放射線は、どこで測っているの?

Answer空気中に含まれる放射性物質は、各県の環境研究施設の建物屋上などに設置してある「モニタリングポスト」で24時間測定されています。福島第一原子力発電所の事故以降は、持ち運びできる測定器(サーベイメータ)で測定場所を移動しながら、地上1mの高さの放射線量を測り、その測定結果が公開されています。また、降下物や水道水に含まれるセシウム134および137、ヨウ素131のほか、海水の測定結果も各県のホームページで公開されています。
また、静岡県のように学校の校庭や公共施設の放射線量を測っている県や、長野県のように風評被害を防ぐため主な観光地の放射線量を測ってホームページで公開している県もあります。8月末現在、中部5県(愛知・岐阜・三重・長野・静岡)では、文部科学省が定めた都道府県別環境放射線基準値を超える放射性物質は検出されていません。
なお、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)では、敷地内に7カ所、敷地外に14カ所、モニタリングポストを設置して24時間連続で環境中の放射線量を測定しています。

各県のモニタリングポスト(空間放射線量測定)設置箇所

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Q3 お米の検査は、どうなっているの?

Answer収穫後2段階の検査を実施福島県とその周辺県は有数の穀倉地帯で、毎年、多くの米が全国に出荷されていることから、農林水産省は放射性物質で汚染された米が出回らないよう、4月に「土壌の放射性セシウム濃度が5,000ベクレル/kg超の水田」の作付けを禁止しました。さらに、8月以降に収穫する新米は「土壌中の放射性セシウム濃度が1,000ベクレル/kg超の地域、または空間放射線量が平常時より高い地域(毎時0.1マイクロシーベルトが目安)で、2段階の検査を行っています。
まず、収穫7日~10日前の稲1kg分を玄米にしてセシウムの含有量を調べる『予備検査』で、200ベクレル/kg超の市町村は、収穫後の『本検査』の検査地点を増やします。そして本検査で、500ベクレル/kg超の米が出た場合、その市町村の23年度米は出荷停止になります。検査結果は、農水省のホームページに公表されています。また、東日本以外の都道府県でも、JAなどの農業団体の要請で自主的に玄米の放射性物質の検査を行っている市町村が多数あり、検査結果をホームページに掲載しています(中部地方の例:岐阜・静岡・長野県など)

食物1kg当たり自然に含まれるカリウム40の放射線量(日本)

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Q4 肉用牛の出荷制限が解除されたけど心配ないの?

Answer牛肉と稲わらの放射性セシウムの暫定規制値7月に福島県や宮城県から出荷された餌となる稲わらから暫定基準値(300ベクレル/kg)を超える放射性セシウムが検出され、これを与えられて出荷された牛の肉からも暫定基準値(500ベクレル/kg)を超えるセシウムが検出されて消費者の間に不安が広がりました。セシウムは臓器にたまりにくく排出されやすいため、今回流通した牛肉を毎日、長期間にわたって食べ続けなければ、健康上の問題はありません。

しかし、国は稲わらに関する農家への情報周知に不備があり、肉用牛の検査体制も不十分であったことから、一部地域の肉用牛の出荷制限を行うとともに、個体識別検査やデータの公表(厚生労働省)など検査体制の強化を図りました。また、各自治体や大手スーパーでは独自に全頭検査を行うなどして不安の払拭に取り組んできました。そして、暫定基準値を下まわった地域から出荷制限が解除され、8月25日には餌の管理や牛の検査体制が確立したことから全県の出荷制限が解除されました。

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Q5 毎日飲んでいる「お茶」は、大丈夫?

Answer6月に関東地域(茨城・神奈川・千葉・栃木県)や静岡県の一部地域で、製茶の一部から食品衛生法の暫定規制値を上回る放射性セシウムが検出され(放射性ヨウ素は不検出)、厚生労働省は該当地域の出荷制限を指示しました。これに伴い、中部各県にも製茶の検査を要請しましたが、健康への影響が心配される規制値を超える放射性セシウムは検出されませんでした。各県とも検査結果をホームページに公表しています。なお、一番茶※の出荷制限を受けた関東地域の各産地では、二番茶・三番茶の検査を行い、1市町村内で3ヵ所以上の地点において出荷前の検査を実施しています。また、ペットボトルや缶入りのお茶を製造する大手飲料メーカーでは、原料の乾燥茶葉や製品(全量)出荷前の放射線量検査を行ったり、安全性を示す証明書を供給業者に求めるなどして安全性に対する管理体制を強化しています。
※一番茶は今年初めて採れた茶葉、二番茶は2回目に採った茶葉。

茶葉と暫定規制値

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Q6 魚・貝・海草などは、食べ続けても心配ないの?

Answer水産庁が北海道および東日本の10都道府県で、週1回程度(神奈川県・東京都は2週間に1回)、主要な港に水揚げされた魚をはじめ貝・海藻・淡水魚など約1,600の水産物の放射性物質を検査し、分析結果をホームページで公開しています。暫定規制値を超える放射性物質が検出されたもの(福島県のコウナゴ、養殖を除くヤマメなど)は、出荷制限や操業停止により市場には出回りません。また、旬を迎えているサンマ・カツオ・サバなどの回遊魚は、発電所の事故が発生した3月11日直後の回遊ルートが福島県の周辺海域から離れていることに加え、水揚げ段階でサンプリング調査が行われ、分析結果が公開されています。
海に排出されたセシウム137は、薄まり拡散されます。また、プランクトンを通じて魚が体内に取り込んでも、水銀や有機塩素化合物のように蓄積されることはなく、人間と同じように50日後には半分が排出されます。さらに、私たちが暫定規制値500ベクレル/kgの魚介類を200g/日ずつ毎日1年間食べ続けても、被ばく量は0.47ミリシーベルト程度で、健康への影響を心配する数値ではありません。

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Q7 野菜をゆでたり洗ったりすると放射線の値は減るの?

Answer放射性物質が食品衛生法に基づく暫定規制値を超える食品は、出荷制限などによって市場に流通できません(前号の特集で紹介)。そのため、市場で販売されている野菜を購入した後で、特別な対策をする必要はありません。また、野菜などに熱を加えても放射性物質が減ることはありませんが、(独)放射線医学総合研究所では「野菜を洗う、煮る(煮汁は捨てる)、皮や外葉をむくことで、汚染の低減が期待できる」としています。

地域への影響や対策を注視して、冷静な判断・消費行動を
食品や身近な商品から、放射性物質が検出されたというニュースが流れると不安になります。しかし、ここで大切なのは、放射性物質は種類によって性質が違い、人体に及ぼす影響も放射線量によって異なるという認識です。そこで、私たちは発表される放射性物質の種類や放射線量、生産や流通段階での対策、居住する地域で予想される影響などを注意深く見守りながら消費行動に反映したいものです。過敏な反応は、新たなストレスの要因となり、風評被害を広げかねません。
現在、国や自治体は幅広い分野で放射線の監視や対策の強化、継続的な情報発信に努めています。もし放射性物質について不安や疑問がある場合は、各自治体のホームページで確認したり、相談窓口に問い合わせるなどしてください。

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【参考資料・データ】

ホームページ/内閣府・経済産業省・農林水産省・厚生労働省・消費者庁・各都道府県・新聞社・東京電力・中部電力などの「福島第一原子力発電所の事故に伴う放射性物質の影響と対応」等の関連サイト、報道機関の関連記事など(本記事の内容は、8月31日までの情報に基づいています)